友人や同僚との話で、つい癖で話を盛ってしまう。嘘をつく気はなかったのに、なんとなく口から嘘が飛び出してしまう。そんな症状に悩んではいませんか?
自分にはつい嘘をついてしまうクセがある、そう自覚がある場合は努力次第でそれを治すことが可能です。これから、あなたの「嘘をつく」という行動を多角的に観察しながら、嘘つきの治し方を考えていきましょう。
嘘つきを治す方法
体に染みついてしまった嘘をつく性質を直すのは簡単ではありません。自分に合った対処法を選んで実行してみましょう。
方法①: 自分がついている「嘘のタイプ」を分析する
あなたにとって効果的な、嘘つきの治し方を知りたい場合には、まずあなたがついた嘘を分析することから始めていきます。
あなたは一体、一日に何回嘘をついていますか?
その嘘はどんな内容で、どんな場面で、誰に対してついた嘘でしょうか。
分析していくに当たって、一日の終わりに、今日の自分の言動を細かく思い出してくださいそして朝起きてから夜寝る時までについた嘘を、思い出せる限り正確に、ノートに書き出していきます。
何気ない嘘からびっくりするような大きなウソまで、人の嘘には色々な理由があり、また理由がない嘘にみえる場合でも、実はあなたが本当に求めている何かが隠されているものなのです。ですから自分の嘘を洗いざらい書いてみる、そしてその理由を探るというのが、嘘つきを治すファーストステップとなります。
さて、今日から一週間、この嘘を書き出す作業を日課として続けていってください。
この時のノートの使い方には特に決まりはありませんが。書き出す時にはひとつひとつの嘘に対して、十分な余白をつけておいてください。これからその余白部分を使って、あなたの嘘の分析を進めていきます。
方法②: どうして嘘をついてしまうか考える
あなたは、自分がどうして嘘をついているのだと思いますか?
それぞれの嘘に対して心当たりがある人も、全く分からないという人もいますが、嘘には必ず理由があります。何が嫌で嘘をついたのか、どうなりたくて嘘をついたのか、すぐには思い当たらないとしても、あなたにとって何の理由もない嘘、というものは存在しません。
ということでここでは第二段階として、方法①で書き出した実際の嘘のひとつひとつに、あなたの本心に隠された「嘘の理由」をつけていきます。
あなたの感情がどのように動いて、その嘘を口から出したのか、それを確かめていくのです。
寝坊で遅刻したが「電車の遅れ」と嘘
- 自分を良く見せたい
- 怒られるのを防ぎたい
- 自分は悪くないとアピールしたい
話題のスイーツを「私、それもう食べたわよ」と嘘
- 目立ちたい
- 羨ましいと思われたい
- 虚栄心を満たしたい
海外旅行のお土産をもらって、「俺もその国行ったことあるよ」と嘘
- 負けたくない、嫉妬する気持ち
- プライドが許さない
- 承認欲求が満たされないから
いかがでしょうか。こんな風にひとつひとつ丁寧に、自分の嘘に向き合ってみると、自分がどんな状況に反応しやすいか、何を隠したいのか、人からどう思われたいのか、そういったこころの動きが手に取れるようになってきます。
そして書けば書くほど、すぐに理由が思い当たる嘘もあれば、随分じっくり考えないと自分でもよくわからない嘘もあるということがわかってくるはずです。
もし数分考えてもどうしても理由が思い当たらない、そういう時には余白にしるしをつけて放置で構いません。対していくつも理由が思いつく嘘に対しては、できるだけたくさん書き出しておきます。
そうしてこのやり方で一週間、嘘の分析を続けていくと、あなたの嘘の傾向が徐々に明らかになってくるのです.
さて一週間の終わりになったなら、嘘の理由として、あなたが一番多く書いたものは何だったかを数えてみます。そこにはあなたの本心が浮き彫りになっているはず。
私は嫉妬心が強いから、人に対抗するために嘘をついていることが多いのね。
私は話題の中心になるために嘘をついて、寂しさをごまかしていたんだ。
僕はコンプレックスを隠したくて、強がるための嘘をついていたのか。
俺はプライドが高すぎて、失敗を認めたくないから嘘を言ってしまうのか。
いかがでしょうか。あなたのうその傾向は見えてきましたか?
あなたの嘘は、あなたの本心を反映しているもの。ご自分が本当はなりたい自分、触れられたくない自分、それが嘘となって口から出ていたわけです。
方法③:嘘の理由から、こころの調整をしていく
ここまでの分析で、あなたがどのくらいの頻度で嘘をついているのか、そしてあなたの嘘はどういった心理によって出てきていたのか、ということが分かってきました。あとはその自分の本心に真正面から向き合っていくことで、嘘つきを治していきます。
方法①~②で作った「嘘ノート」に書き出した嘘の理由に、多かったのは何ですか?
多ければ多いほど、そこがあなたのウイークポイントです。強すぎる欲求、知られたくない、隠しておきたいこと、恥ずかしいと感じている部分のはずです。
もし理由に「嫉妬心が強い」が多く、それが自分の弱点だと分かったとしましょう。この場合はどうすればいいでしょうか?
この場合は嫉妬心についてよく考察します。なぜ嫉妬心を強く持ってしまうのだろう、もしかしたら自分には比べてしまうクセがあるからかもしれない、こんな風にわかってくれば、その「比較してしまう気持ち」を調整していけば、嘘をつく衝動を和らげることができます。
そしてこの分析の最後には、「理由が思い当たらない、自分でも意味が分からない嘘」の数を数えてみてください。実はこの数が多い人ほど、残念ながら嘘つきの状態が重症であることを示しています。相手にも自分にも意味が分からない、この「不思議系」と言われる嘘というのは、「虚言癖」という精神的な病に近い人ほど多くついていることが分かっているのです。
このように、自分が嘘をついてしまう理由を深く考えることというのが、噓つきを治すために一番重要な方法です。まずは自分の心の奥底を覗き、自分が本当は何が欲しくて嘘をついているのか、それを知って初めて、自分の心のどの部分を調整すればいいのかが分かってきます。
方法④: 自分を良く見せるための嘘は、ほとんどがばれている
嘘というのは、基本的に自分をカバーするものです。自分を嘘で覆うことでよく見せたり、大きく見せたりするのが目的ですから、他の人にそのカバー部分は見えない、というのが前提となります。
しかし残念ながら、自分を良く見せたい嘘はほど相手にばれているものです。
もしその場で一瞬みんなが信じたとしても、少し後には「あーやっぱり嘘だったね」と周囲には分かっているものなのです。
例えば「自分はモテル!」と豪語している人がいたとしましょう。その人が言っていることが嘘かどうかは定かではなくても、普段から接している人がいたら「この性格じゃあ、女性はよってこないよね。」「恋人の影が見えたことがないなあ」と内心思われていたら、周りは嘘を指摘しないまでもそもそもバレバレなんです。
ディズニーランドに行ってきた!という人がいてそれに便乗するように、私は年間パスポートを持っていてしょっちゅ行っている!という人がいたとしましょう。
それならもっと前からディズニーの話題について触れたり、お土産を渡してくれたりアクションがあっていいはずなのでこの場合もバレバレといえます。
自分を良く見せようとする嘘は、周りの人からすると前後のあなた自身の行動や態度からバレバレなんです。だからこそ、嘘で固めたところで所詮こんなものはばれていて、逆に恥ずかしいだけなんだという事に気づいてください。
方法⑤: 嫌われることもある、それを受け入れる
あなたの嘘が、嫌われたくないからという理由で繰り返されているなら、嫌われるということを恐れずに受け入れることも大切です。
万人に好かれことは、そもそも不可能です。
この広い世界には約77億人の人間がいます。それだけの人がそれぞれの個性を持っているのですから、合う人と合わない人というのは必ず存在しますし、どんな意見や考え方にも同調できる、という人はいません。だから、誰かに嫌われることがある、というのはごく当たり前のことなのです。
その中であなたの人生に必要なのは、嘘で繋がれたたくさんの人間ではなく、真実を持って手を握ることができる、ほんの数人の大事な人たちです。
もしあなたの本心を聞いたその人があなたを嫌い、あなたの元を去るならば、その人とは縁がなかった、それだけのこと。
ですから嫌われることがあるのは当たり前、嘘をついてまで好かれる必要はない。こう知ることもあなたが噓つきを治す方法のひとつとなるはずです。
方法⑥: 自分が嘘をつかれたらどう感じるか
つい嘘をついてしまうあなたですが、自分が人から嘘をつかれた時には、どんな気持ちがするでしょうか。私も良く嘘をつくから、あなたの嘘も理解できるわ、そんな風に広い心で対処できますか?
「私に嘘をつくなんて酷い!」「もう信用できない」こんな気分になりましませんか?
その気持ちを、そのまま相手に置き換えてみてください。こういった「相手に感情移入してみる」という方法は、噓つきを治すための強力な原動力となります。
あなたが嘘をつく場面を想像し、その時の相手のこころの動きと自分を重ね「感情移入」します。そうすれば、
「私は嘘でごまかされるような、馬鹿な人間だと思われているんだな」「この人は私に本当のことを話す気がないんだな」こんな風に相手は怒りを覚えている、ということが理解できるはずです。
これで嘘つきが相手の怒りを買うということが、心底分かればその気持ちも、嘘つきを治すためのモチベーションとなっていくのです。
方法⑦: 信用を取り戻すために嘘をやめよう
噓つきを治す方法として、誰か大切なひとりの人をいつも思い描く、というのも実際的です。
その自分にとって大事な、失いたくない人との関係を保つために、嘘をやめるのです。
あなたは、誰かから「自分は大事にされているな」と感じる時、それはどういう時でしょうか。適当に話を誤魔化されたり、裏切られたりしたときですか?
きっと会う約束が守られた時や、待っていた返事が来た時、つまり「信じていた人の信用できる行動」を実感したときに「私は愛されている」と思えるはずです。
あなたもこれから、大切な家族や恋人、友人や仲間に「信用」を与えていかなければなりません。その場を繕う嘘、上辺を取り繕う嘘が出るうちは、あなたが大切な人から信用されることはありません。
あの人の信用を得るために嘘つきを治したい。その決意も非常に重要です。
方法⑧: 嘘を指摘してくれる人を遠ざけない
あなたの周囲に、あなたの嘘を指摘してくれる人がいるなら、その人を疎んじたり遠ざけたりするべきではありません。今までは嘘の度に「また嘘ばっかり言って!」と言われることにうんざりしていたかもしれませんが、嘘つきを治したいという気持ちを持った今、そういう人はとても貴重な存在です。
嘘を注意してくれるのは、あなたの親御さんやパートナーでしょうか、その人たちはあなたをとても大切に思っている人のはず。スラスラと嘘が口から出るあなたの将来を、本気で心配しているからこそ指摘してくれているのです。
もちろん嘘が癖になってしまっている人の中には、厳しすぎる親に怒られることを防ぐため、あるいは忙しすぎる親の関心を効果的に引き付けるために、嘘の常習犯になってしまった人もいます。でも、もうあなたは親の庇護がなければ生きていけない、幼い子供ではないはずです。
これからは、自分の「嘘つきを治す」という決心と努力を、そういった注意してくれる人の助けを借りて遂行していけばいいのです。
自分を助けようとしてくれている人の手は、振り切ってしまってはなりません。あなたは嘘に溺れそうになっているのですから、その手にすがってみるのも悪くないはずです。
方法⑨: 嘘つきは愛されない
嘘つきは愛されない現実をしっかりと受け止めてください。
自分の大切な人が、何気ない会話にすら嘘を挟んでくるとしてあなたはそんな相手を信じることができるでしょうか?嘘は前述した通り、その人の信用をどんどん奪っていきます。
誠実な人、真面目な人、そういう愛される要素を奪ってしまった結果、嘘をつくことをやめられない人は不誠実な人、不真面目な人と受け取ってしまわれるのです。
誰かを愛するためにも、そしてあなた自身が誰かに心底愛されるためにも嘘つきは「真実の愛」を手に入れられない現実をしっておきましょう。
方法⑩: 嘘の元凶となるやましい行動をやめる
嘘をつかなければならないような、人から非難される行動、それをやめることで嘘をつく必要をなくすというのも、嘘つきを治す実際的な方法のひとつです。
例えば時間にルーズなせいで、度々言い訳の嘘をつかなければならないひとならば、自分の時間に対する姿勢を見直すことで、嘘が必要な場面を減らすことができます。
そのためにはタイマーやリマインダーの活用方法を変える、システムノートや予定表の書き方を見直す、そもそも早く寝ることできちんと起きられるようにするなど、実際的な方法はいくらでもあるのです。
大事なのは、嘘でごまかせばいいという自分にある甘えをなくすこと。
嘘は相手に対する過度な甘えの現れです。自分のやましさを嘘で丸め込むのはやめて、人として守るべきルールはきちんと守る。それを心してください!
方法⑪: 仕事で成功するために嘘を封印する
基本的に嘘というのは、自分をより良く見せるという目的のために発せられます。
嘘が自分の評判を上げるために役に立っている、そう思うからこそあなたは嘘をつき続けているはずです。
しかし考えてもみてください。「あの人はよく嘘をつく」と周囲が身構えている職場で、あなたが真剣なプレゼンをしたり、新しい提案をしたりしたとしても、それを本気で受け止めてくれる人はどれだけいるのでしょうか。
人の評判というのは、ある程度の期間にその人が何を表してきたか、その言動によって決まるもの。
- いつもニコニコしている人=話しかけやすいひと。
- すぐイライラしてそれが顔に出る人=怒りっぽいひと。
- 会話に入ってこないオドオドした人=人見知りなひと
- よく考えられた発言をする人=信用できるひと。
あなたはどういう評価をされていると思いますか?
- すぐ嘘でごまかそうとする人=信用できないひと
哀しいことですが、これがあなたの現在の評価です。発言が嘘か本当か分からない、どの言葉も信用できない、そんな人に業務上重要な部分を任せようと思うひとがいると思いますか?
こう考えれば、仕事での成功は信用なしにはあり得ない、ということが分かります。
ぜひとも嘘つきを治して周囲の信用を得、あなたの実力をビジネスで発揮させてください。
方法⑫: 時間をかけて根気よく改善していく
あなたが「嘘つき」になったのには、それ相応の理由があり、今まで長い間あなたは嘘と共に生きてきました。でも今あなたは、そこから抜け出そうとしています。これはとても大きな決断で、人生を180度変えるものとなるはずです。
ですからあまり焦らないようにしてください。どんなことでも習慣となっていることを、変えるのは非常に難しいもの。時間がかかっても構いませんから、ゆっくりと誠実で素直な自分を取り戻していくのが大事です。
自己改革というものは、どんな分野でも一朝一夕というわけにはいかないものです。駄目だと思ってもまたウソをついてしまう、それを反省して嘘つきを治すと誓う、この繰り返しはとても根気のいるものとなるはず。ですから腰を据えてじっくりと、嘘のない本当の自分になれるよう努力し続けてください。
方法⑬: 嘘をつかなくなった自分を想像し、そのメリットを考える
あなたが今悩んでいる、「自分が嘘つきである」という事実ですが、イメージトレーニングとしてその逆の、「嘘をつかなくなった自分」を想像してみるのはいいことです。このイメージが良ければきっと、嘘つきを本気で治そうというモチベーションにつながるはず。
まず嘘をつかないあなたは、ミスや失敗、遅れがあったようなときにも素直に「申し訳ございません」と謝ることになります。嘘の言い訳をしたり、他の人のせいにしたりはしません。
この態度を周りの人はどう感じるでしょうか?
「潔く、きちんと謝罪できる立派な人」として評価されます。社会人として謝れるというのは非常に素晴らしい姿勢で、これができるとできないとでは、上司からも後輩からも見る目に雲泥の差です。そしてそんなあなたには、少しづつ少しづつ信頼や信用が集まることも、想像しながら自分の嘘と向き合っていきましょう。
方法⑭:言う前に一旦言葉を飲み込んで、その発言を考え直す
嘘が常習化していればいるほど、その嘘は滑らかになりスラスラと口をついて出てくるものです。思わず信じてしまうような巧妙な嘘から、聞いた瞬間嘘だと分かるような陳腐なものまで、嘘つきと言われる人たちは息をするように嘘を出してしまいます。
ですから嘘つきを治したい、そう思うようになったなら、これからは自分の言葉のすべてを、一旦自分の中に戻す訓練が必要です。口をついて出る発言を全部、事前に自分で添削するのです。
これは慣れるまでにはちょっと難しい方法かもしれませんが、毎回自分で自分の言葉を再確認することで、自分が嘘をつく瞬間が分かりますし、嘘の内容も自覚できます。
どんなことでも、習慣になっていることをやめるには、ある意味「トレーニング」が必要です。
この「トレーニング」とはスポーツに限ったことだけではありません。新しい言語を習得したいとき、生活習慣の改善をしたいとき、そういったことを繰り返し自分に定着させていく、覚え込むのはすべてトレーニングの成果です。
ですから嘘をつくのをやめる、これも
「言う前に一旦飲み込む→嘘を本当のことに変換→真実を述べる」
というトレーニングによってあなたに定着していきます。
方法⑮: 本音で話せる、ということの素晴らしさを実感する
もしあなたが少しずつ嘘を封印することができ、以前より素直な気持ちを口に出すことができるようになったなら、あなたは実感するはずです。
本当の気持ちが言えるというのは、なんと気分がいいことなのだろう、と。
例えばあなたは、以前なら友達と話すとき「あーそれ私も持ってる!」とつい嘘をついていたかもしれません。そんな時心の中は「あーまた嘘をついてしまった」「みんなにばれていないかな?」ともやもやした気持ちで、話を続けていませんでしたか?
しかし嘘をつくことを意識的に直せば「私にも見せて!これすごいね、知らなかったわ!」と素直に本音で友達に近づいていけるのです。そしてそれを聞いた友達は、「見てみて!あなたも一緒に買いに行く?」と、話が明るい方向に広がり始めます。
基本的に人は高飛車に上から言われるよりも、教えてほしいと頼まれたほうが相手に好感を持てるもの。あなたの「友達と仲良くしたい」という本音が、相手を喜ばせるのです。
こういった「本音での成功体験」が、あなたをどんどん嘘から遠ざけ、そして嘘をついてしまった罪悪感から解放されることになります。
方法⑯: 病的な嘘を繰り返す場合は専門家のアドバイスを
ここまでは自覚があり、治したいという自分の意志がある場合の「嘘つき」について、改善方法を考えてきました。しかし嘘つきには、完全に病気として治療が必要なグループに入るものもあり、その場合の改善方法は専門家の診断や投薬が欠かせません。
ここで代表的な「病的嘘つき」について例を挙げてみます。
- ミュンヒハウゼン症候群
自分自身、もしくは身近な人を故意に傷つけることで他人の興味を引き、注目されたり可哀そうと思われたりすることに陶酔していくシンドロームの一種です。
例えば自傷行為を繰り返して、それが他人に切られた傷だと訴えるために、何度も救急車を呼ぶ。
あるいは自分の子供に少量の毒物を与え続け、その症状が改善しない状態を作り出しながら、熱心に看病し続ける母親を演じる、などの特徴的な一連の行動が見られます。
- 演技性人格障害
パーソナリティ障害(人格障害)のひとつで、他人の振りをする、または別の人生を生きたような行動をとる精神障害のこと。原因や治療方法も複雑なため、長期に渡る診断が必要です。
もしあなた自身にこういった兆候があったり、身近な人に当てはまると思う節があったりするなら、自分たちの力ではどうにもなりません。なるべく早く専門家の意見を聞くことをお勧めします。
嘘をつくことをやめられなかった自分を振り返る
この記事を書こうと思ったのは、自分自身が「息するように嘘をはく」という時期があったからでした。十数年ほど前は本当に精神的にボロボロで、自分自身を正しく受け止めることができず、すぐにばれるような嘘を塗り固めていました。
私がその時ついていた嘘を、今回の対処法で分析していくと
「自分が壊れないためについている嘘」だったな、と今なら思います。
これ以上惨めな自分を認めたくなくて、そして受け入れられなくて『嘘』をつくことでしか自分を保てなくて、そのために私は嘘をつくことがやめられなくなりました。
けれど今度はついた嘘を突っ込まれると、また新しい嘘をつかなくてはいけなくて、そして嘘だったことがばれるのが怖くて、真綿で首を絞められているようにどんどん苦しさが増していったのをよく覚えています。
嘘をつく自分から卒業するのは大変です。少なくとも私は数年単位で、そして精神科医の指導のもと、やっと『嘘をつく癖を直す』ことができました。だから今この記事を読んでいる人がいたら、焦らないでください。
嘘をつく自分を治そう!そう思って実行しようとしているだけで、大きな進歩であり、偉大な一歩です。習慣を治すこと、自分を守ってきた嘘の鎧を外すことは、きっとあなたが思う以上に辛く険しい道のりが続いています。
一度失敗したからってあきらめず、何度でもチャレンジしてください。
嘘をつかずに済む生活は、ついた嘘がばれることに怯えなくていい生活はすごく気持ちがいいものです。嘘の鎧を脱ぐのは、裸で冬の寒空を歩くような、心もとなさと寒さをもたらしますが、そこが冬ではないことに気づくことができれば自然と寒さや、心細さを少しづつ手放すことができます。
あさらず、そしてゆっくり自分と向き合ってください。
嘘つきを治したいと願う君へ
嘘をつく自分に悩んでいるなら、必ずあなたには嘘をつくだけの理由が存在します。
何気ない事でも、つい嘘をついてしまうとしたら、そもそも嘘をつくことが習慣になってしまうだけの根深い問題があるはずです。
嘘をついてしまうのは、自分を『何か』から守るためです。
それは自分のプライドだったり、存在理由だったり、意地だったり、見栄だったり、人によって違いますが、あなた自身にとってはとても大切な『何か』です。
だからこそ、『嘘をつくこと自体』をそんなに責めることはしないでおきましょう。
だってその嘘はあなたが傷つかないために取った、防衛本能のようなものなのですから。
でもこの記事を読みに来てここまで読んでくれたあなたは、もうきっとその自分を守るためについていた嘘が、逆に自分を苦しめていることにもう気づいているはずです。
だからこそ、今この瞬間から『嘘で自分を守る』ことを意図的に辞める決心をつけてください。嘘で守られるプライドや、見栄は本当に儚く、そして結局はあなた自身を追い込みかねません。
だって自分に見合ったものを身に着けているほうが、ずっとずーっと楽なんですから。
嘘つきを治したいと願う君へ。焦らず、嘘のない自分をほんの少しづつ受入れていきましょう。嘘をつかなくても、等身大の自分でも、満足できるようになれば、嘘を自然と手放すことができます。
焦らず、少しづつ、自分で自分を認められるようになってください。この記事が嘘つきな自分に悩む全ての人に届くことを願って。
月城
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