今回は王子様を救う不思議で歪んだおとぎ話『大正×対称アリスall in one』の詳しい感想と評価を綴っていきます!!
登場人物の名前が、シンデレラ・赤ずきん・白雪など、本来なら童話のヒロインの名前を性別が逆転した男性攻略キャラたちが名乗り、ヒロインと恋をしていきます。
万人におすすめできるゲームではありませんが、それでもシナリオ重視で乙女ゲームをやる人、第三者目線でプレイできる人には「めっちゃ面白いです!!」と太鼓判を押せる作品なので、ぜひ気になったらプレイしてみてくださいね!
月城は賛否ある作品ですが、本作は絶賛!!という評価です!ラストにこんなに納得した作品は久しぶり!
また、気になっているけど『PSVita版』か『switch版』どちらを買えばいいのかわからないという人は、switch版の購入をお勧めします!詳しい解説はこちらを参照にしてください!
目次
システムの爽快さと、4つのPCゲームが1つになったお得作
『大正×対称アリスall in one』は2015年に『Primula(プリムラ)』より発売されたPCゲーム『大正×対称アリス』の4作品を、1つのゲームとしてまとめて発売されたものです。
攻略キャラはシンデレラ・赤ずきん・かぐや・グレーテル・白雪・魔法使い・アリスの7人で構成されいて、性別が逆転した歪な童話の主人公たちを、ヒロインが救っていく物語となっています。
私はswitch版をプレイしましたが、選択肢スキップ・オートプレイ・クイックセーブなど一つ一つの動作が非常に軽いため、今までプレイした乙女ゲームの中で一番ストレスなくプレイできた作品でした!
ここまでノンストレスのゲームを始めてやりました!既読スキップとか、選択肢スキップのロードがほぼ0ってこんなにやりやすいんだ!!と感動しました!
大正×対称アリスall in oneのストーリー 概要
王子様を救うお伽話です。シンデレラ・赤ずきん・グレーテル・かぐやなど各童話のヒロインとなり、童話の主役であるヒーローを救うことで、物語を『幸せな結末(ハッピーエンド)』へ導いていきます。
各ヒーローたちはそれぞれ独立した物語を歩んでいくため、どの攻略キャラをプレイしても、新鮮な物語を楽しめます。ただし、ストーリーの性質上、攻略キャラには制限があり順番道理にしか攻略することはできません。
少々癖のある作品ではありましたが、一つ一つの独立した物語に感動し、そして終焉を迎えるラストの展開に、2度感嘆の声をあげさせられる類まれない作品でした。
最初に物語に進むまでに『アリス』という男の子が屁理屈&マシンガントーク繰り出します。最初からいきなりすぎてちょっと引いてしまうかもしれませんが、ここで嫌いになってはもったいないゲームです!!
主人公は明るくちょっと変わった女の子
主人公の有栖百合花(名前のみ変更可能・デフォルトネームで名前呼びあり)は、言葉遣いにちょくちょく英語をはさんだり、異常に前向きだったり、童話の主人公の彼にすぐ恋をしたり、行動力のあるちょっと変わった女の子です。
本作は攻略キャラごとに、違った設定になっているため、主人公の設定も各キャラによって全く異なります。
シンデレラの場合はお金持ちのお嬢様だったり、グレーテルの時は放任主義の親のもと弟と暮らすお姉ちゃんだったり・・・。
最初は結構ふわふわした感じの明るい女の子なのかな?ちょっと天然系の女の子かな?と思っていましたが、ストーリーを進めるごとに彼女の本来の姿が垣間見えはじめ、最終的には盛大な拍手を送りたくなる、他の作品ではなかなかお目にかかれない主人公になっていました!!
百合花は月城の主人公歴代5位に入る、大好きなキャラになりました!!!
好感度やアイキャッチは特にない
好感度がわかるものや、アイキャッチ、物語の分岐点となる選択肢などの示唆はありません。
そのため、攻略を見ないと間違って進んでいても気づくことはほぼできません。
ですがその代わり、次の選択肢にスキップするロード時間が『ほぼ0』のため、バットエンドになり最初からやり直しても、同じ選択肢にたどり着くのは5分もかかりませんでした。
そのため、いくらでも失敗できると大きく構えられたので、私は本作はかぐや編以外は攻略サイトを見ずに自力でたどり着くことができました!
攻略制限がかかっている
最初から好きなキャラをプレイしたいという人だけ頭に入れておいてください。
本作は攻略制限があり、シンデレラ・赤ずきん→グレーテル・かぐや→白雪・魔法使い→アリスの順にしかプレイできません。
攻略制限にも意味があるため、もし好きなキャラしかやりたくないという人は本作を避けた方がいいでしょう。
このゲームは『ツンデレキャラだけ!』『好きなキャラだけ!』攻略する人には向いていません
大正×対称アリスall in one ネタバレなしの感想&評価
糖度 :★★★★☆
ボリューム :★★★★★(4作品が1本なので十分!)
一押しポイント:すべての問題点を跳ねのけるシナリオに注目!
一般受けするかは置いておいて、シナリオが素晴らしい乙女ゲームでした。
最初はちょっとふわふわした頭の女の子が、ひたすら「アリス」という男の子に、屁理屈&マシンガントークで責められ、主人公の百合花はそれを『ぽやん』とした反応や独特な英語が混じる返答の仕方に、違和感とイライラで開始1時間で心が折れそうになりました。
しかしそれらすべても『意味があることだった』と分かった時、この作品のすごさをまざまざと感じることになりました。
少々グロ注意な部分や、主人公の癖が強いため『自己投影型』で乙女ゲームをプレイしたい人にはあえてお勧めしませんが、第三者目線でプレイできる人、普通の乙女ゲームには飽きてしまっている人、シナリオがいい作品をやりたい人には、自信をもっておすすめできる作品です。
最初の2時間くらいは本当に買ったことを後悔しそうになったけど、やってみると本当に素晴らしい作品でした!
ニンテンドースイッチとPSVitaどっちを買うのがおすすめ?
ハードを両方持っている場合は、全攻略キャラのスチルが追加されボーナスコンテンツ(鏡の国のドМは誰だ選手権)を聞ける『switch版』が一番のおすすめです。
ただ2019年7月現在では、まだFD(ファンディスク)はニンテンドースイッチからは発売されていないため、
- 面白そうな作品だからすぐにファンディスクをやりたい!!→PSVita版で『大正×対称アリスall in one』とFDの『大正×対称アリス HEADS & TAILS』を購入
- 快適な機能で完全版をプレイしたい!!→switch版『大正×対称アリスall in one』をプレイしFDは移植されるのを待つ
としておきましょう!月城は両方のハードを持っていますが、FDの方はスイッチに移植されるまで大人しく待っていようと思っています!
switchに移植されるとき絶対に追加コンテンツが入るはずだから、それを含めて完全版が欲しいんです!
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大正×対称アリスall in oneキャラ別感想
ここからは、ネタバレありの感想を詳しく書いていきます!!各キャラ愛にあふれた感想になっていますので、バリバリネタバレを含みます!!ぜひプレイし終わってから読んでみてください。
シンデレラ CV:平川大輔
しっかり者のお兄ちゃんのはずが、まさかの借金王という最初からパンチの効いたキャラでした。一番最初に選択したのがシンデレラさんだったのですが、まさか乙女ゲームで買い物依存症&借金王と出くわして、一緒に返していきましょう!!という展開になるとは予想だにしていませんでした。
ただ他のルートで出てくるときはやっぱり、ちゃんとお兄ちゃんやってて、それでも結構雑に扱われてて、笑ってしまいますw
シンデレラさんの回は、ヘタレバットエンドにちょっとイラっとしてしまいましたが、本作品の中で一番常識人なんではないかと最終的には感じました。
常識人っていうか愛情表現が唯一まとも??って感じです
赤ずきん CV:前野智昭
最初はツンデレを通り越してブリザード系男子という新しい造語を作り出していたのに、まさかキャラクター1のシャイボーイだったとは・・・。
赤ずきんさんのところはどの反応の可愛くて、『ティッシュ』とか『突き合わせる』とか、何気ない言葉に反応してしまう様子を見ると、百合花ちゃんじゃないですが『中学生かよ!!』と思わざるをえませんでした。
ただ言葉遣いや、百合花を気遣う様子は微笑ましくて、中盤までは対称アリス一番ほっこりさせてくれたキャラでした!
でもね、まさかラストに盗聴&身分査証&ストーカーの3連コンボを入れてこられるとは、シンデレラさんの時があるので、覚悟はしていたんですが「今度は犯罪っっ!!」と画面に突っ込みを入れながらやっていました。
ストーリー的にはとっても萌え萌えなキャラだったので、赤ずきんさんはめっちゃ癒してもらえました。
まあ、犯罪とか色々ありますがその辺は『乙女ゲーだし!!』と私はスッと流せました
かぐや CV:増田俊樹
バット地獄エンドに泣きそうになったキャラです。そして耐えられず、唯一攻略サイトを見てしまったキャラでもあります。(かぐやさん、、選択肢一つ間違えただけで即バットエンドは辛いっす。。。と言いたくなりました。)
正直白雪くんと同じくらい辛くしんどい過去を持っている彼ですが、だからこそ、そんなかぐやを救う百合花が一番『聡明』に見えたルートでもありました。
『自分の大切な人を救うなら、自分がどうなっても構わない』そう心から思っているからこそ、かぐやを救うために出した瀬戸際の結論に涙がこぼれました。攻略キャラの中で一番百合花の存在がなくてはならないと感じた人でした。。
他ルートでかぐやが腹黒に変わっているところも、本人の素が出ているなあとほっこりできます。
グレーテル CV:江口拓也
途中からヤンデレになって拘束される乙女ゲームが何度もやったことがありますが、まさかキャラのスタート時から監禁してしまっているヤンデレ君をプレイすることになるとは思いませんでした。笑
お姉ちゃんへの愛情が深すぎて、私的には2番目に闇がこいなあと感じたキャラです。まあ、何ていうか、濃いっというかもうグレーテル君の愛情は『狂気』に近いものがあって、それをなお優し気な声でしとやかに発言するもんですから、凄みがやばかったです!!
ヤンデレ系が好きだ!!という人がいたら『弟属性で激しく闇が深いグレーテル君なんてどうでしょう!?』とお勧めしたくなりました(笑)
キャラの中で一番美味しいスチルが多かったのがグレーテル君でした!
白雪 CV:蒼井翔太
見た目もかっこいいし、すごく気になるキャラでしたが・・・、本作品の中で唯一私の地雷キャラでした。
分かる、ゲームだってことはわかる。だけどお母さんが死んでる横で、そしてふけまみれの男の子にキスってできるものか?(夢の中だから実際には死んでないからいいんだけど・・・)
白雪くんのつらい過去はわかったけど、第三者目線でプレイしてる私ですらまさかのグロ展開にかなり引いてしまいました。白雪君の達観したところや、最後のつなげるために必要不可欠な演出ではありましたが、個人的には人に勧める時に最初に注意しておいて、と言いたいところでした。
賛否が分かれてしまうところが、やっぱり白雪君の回だとおもいます。結末には必要ですが、これを乙女ゲームとして受け入れられるか?が問題でした・・・。
魔法使い CV:羽多野 渉
一番報われない悲しいキャラでした。
アリステアの人格のために、精神科医によって勝手に作られそして勝手に失望され、そして大好きな女性との恋にも破れそして、自分から利用されて、、。
でもそんな彼にも、ちゃんと素敵な物語を百合花が用意してあげていて、エピローグでみんなに同情される中、「僕は不幸なわけじゃない」誰に言うでもなく呟いた魔法使いさんを見て、ちゃんと救われたんだと思いほっとしました。
彼の恋はかないませんでしたが、それでも夢の中を一緒に過ごす百合花と出会え、そしてそれを本人も少しは満足したものに捉えることができていて、胸をなでおろしました。
魔法使いさんのルートは恋愛よりというよりは、物語の真相を開く扉になるような話でしたが、そんな彼にもちゃんとハッピーエンドを作ってあげたところも百合花のすごい所でした。
アリス CV: 松岡禎丞
物語の真相であり、ずっと登場していた彼の物語は彼自身を好きになるとか、そういうのではなくとにかく、どんどん明らかになる真相と今までの伏線を回収していくシナリオに圧倒されました。
赤ずきんや白雪のルートで疑問に思っていた母の事、白雪がのぞいた真実の鏡のこと、ちょっとした引っ掛かりや、納得できていたなった部分がパズルのピースをはめるようにカチリ・カチリとはまっていき最後に一つの物語になっていくのは夢中でラストまでやってしまいました。
最後に百合花にどちらが好きかという質問で、エンドが変わるのも憎いですね~・・・。そしてグランドエンドは主人格である「アリステア」を選ばせるのではなくまさか「アリス」を選ばせるとは、、、。(普通こういう話だと、やっぱり主人格を選ばないとグランドエンドには行けないので、私は最初はアリステアを選んでハッピーエンドになりました。)
ラストのスチルもよかったなあ~。ずっとなんだか百合花に突っかかっていってたアリス君が二人で虹の橋を渡るところ。
夢の中で、いつまでも、いつまでも幸せに暮らしました。
ということが想像できて、「童話の中の王子様達を救う物語』というコンセプトにぴったりだ!!と思ってしまいました。
皮肉屋で理屈っぽく他のキャラのところでは笑いを取ってくれる彼でしたが、最後はちゃんと素敵な王子様に見えました!!
大正×対称アリスall in oneのネタバレ有りの感想&評価!!
最初は頭ゆるい系の女の子が、全く知らない「アリス」という男の子に、怒涛の如く言葉攻めにあう姿に思わず「うわ~・・・」と、セリフが漏れてしまいました。
物語も買い物依存症&借金王のシンデレラさんから始まり、ブリザード系改め物語きってのシャイボーイの赤ずきんさんは盗聴&身分査証&ストーカー系質男子だったり、重度シスコンのグレーテル君は最初から監禁&ヤンデレだったり・・・。
個人的に本作一の闇が深いと思っているかぐやさんは自傷行為と自殺願望があったり・・・。
キャラの個性が強すぎだろ!!というか全員重すぎないか!!?と突っ込みを入れつつプレイすることになってしまいした。
各キャラをプレイしていると、ところどころ首をかしげるシーンや納得できない表現があり、拭いきれない違和感を感じつつもプレイしていたんですが、まさかそれが真実物語に全て繋がっていたとは思いませんでした。
なぜあの時あんな不自然な状況になったのか?なぜあの時あんなセリフを言ったのか?なぜ主人公は変なしゃべり方をしていたのか?
全てが最後に符合し『なんてすごいシナリオなんだ!!!』とただただ感動してしまいました。
そして、このものすごいシナリオを練った、百合花とそれを実現しようと動く真実を知る者たち、そしてラストの展開には脱帽です!!!
乙女ゲームでこういう解離性同一性障害はそこまで珍しくなく(いわゆる多重人格系)ラストの展開で結構物語の『納得感』が変わってしまうのですが、今回のは完璧だったなと感じました。
それぞれの与えられた夢の中に、大切なそれぞれの『有栖百合花」が存在し、全ての人格が話し合い、そして納得して夢の世界へかえっていくー。
消えるのでもなく、我慢するのでもなく、それぞれの世界に生きることにする。
正直ラストをここまで納得できる大円団にもっていくのは、なかなかありません。そしてこんなすごい物語なのに、最初の数時間は百合花が、とにかく頭の悪い子に見えてしょうがないという・・・(笑)
白雪君の描写については、ここまでする必要はあるのか?とか白雪ルートはもうちょっと何とかならなかったのか?とかも思いますが、総合的に見てこんなに納得できる作品はそうそう出会えるものではないと思い全力で感想を書いてしまいました!!
乙女ゲームは恋愛の観点から見ると、最終的にハッピーエンドになったんだから細かいことはいいじゃん!!となるゲームもあるのですが、細かいところまで拾い上げ、ここまで全体に伏線を張り、解決していけるゲームは多くはありません。本当に素敵な作品に出会えてよかったです!!
ここまでお読みいただきありがとうございました!!次はswitch版でFDである、『大正×対称アリス HEADS & TAILS』が発売が決まったら速攻で予約する予定です!
月城
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